1000年後の日本で、呪力を得た人間のゆく末は…(新世界より)
一回、アニメを途中で見るのを止めていた「新世界より」(貴志祐介)の小説を読みました。
貴志さんは、「悪の教典」という作品が映画化されていて、僕も耳にしていたほど有名な方ですが、その方の作品は初めて。
高校生の頃、面白いアニメを探していたところ、あらすじに惹かれてみようと思ったんですが、途中で断念。
大学の生協で、勢いで上巻を買って、読んでみることに。
アニメは半分くらい見ていたので、中巻の初めまではほぼ惰性で読んでましたが、謎が解き明かされていくにつれ、読む手が止まりませんでしたね。昨日買った下巻も一日かからず読んでしまいましたし。
簡単なあらすじ
1000年後の日本。人間が、呪力(いわゆるサイコキネシス)を使えるようになった世界。早季,瞬,覚,真理亜,守の五人の子供たちは、全人学級に通い、呪力を磨いていた。彼らは、八丁締の中で暮らすことで、平和な生活を送っていた。ところが、学校行事である,夏季キャンプで、規則を破って範囲外の地域で、「ミノシロモドキ」と呼ばれる,移動式の図書館としての役割を持つ生き物と出会い、人間の,知られざる悲惨な過去を知ってしまい…?
ここから、ネタバレで感想を書きますが、最初の山場は、やはり「ミノシロモドキ」と出会った場面ですかね。一体の生き物?に、膨大な量の本が入っていると思うと、それだけでわくわくします。それが、どんな内容でも、やはり、真実を知りたいですしね。
二つ目の山場は、瞬の業魔化ですかね。なぜ、瞬が業魔化してしまったのかということは、はっきりとは示されていなかったと思いますが、やはり、人間の社会の過去を知ってしまったせいで、少なからず、精神面からの発端でああなってしまったんだと思います。誰かのセリフ(確か富子さん)で、早季以外の4人は、立ち直るのに時間がかかったと書いてありましたし…。
三つめの山場は、夏祭りの夜の「悪鬼」の出現です。もう、絶望でしかありませんでした(笑)。どう考えても、真理亜と守と関係があることはさすがにわかりますが、子供だったとはね。特に、病院での一件は、ただのホラーでした。ホラー映画とか見ないけど。
最後、スクィーラ(野狐丸)が、「人間だ!」といったセリフと、「いいですよ、あなた方が我々を虫けらのように殺してきたことを謝罪してくれるのならね」のセリフは、考えさせられるものがありますね。関係図として、人間とバケネズミが、呪力をもった人間と、そうでない人間という風に比較できてしまう以上、人間がバケネズミを無感動に殺すことは、いかにも歴史を繰り返しているようにしか思えません。そのことに、これから、早季たちは、取り組んでいくべきなんだろうと思います。たとえ、能力の差があったとして、無差別に殺していいわけはありませんからね。
ということで、2017年の年末から2018年の年始にかけて、「新世界より」を読みました。しばらく、明るい内容のアニメでも見ます(笑)。
では。