少しだけ、歩く

ゆる~く、自己成長につなげたい。雑記。

「ペンギンハイウェイ」(森見登美彦)を読んで

 「四畳半神話大系」や「夜は短し歩けよ乙女」の作者である,森見登美彦さんの作品,「ペンギンハイウェイ」を読みました。

 

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

 

 

 簡単なあらすじ

 ぼくはまだ小学四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにしたーーー。少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく。第31回日本SF大賞受賞作。

 

 冒頭から、パンチが効いている。

 「ぼくはたいへん頭が良く、しかも努力をおこたらずに勉強するのである。

  だから、将来はきっとえらい人間になるだろう。」

 

 大人(20歳)になるまでの日数を数え、その日数分、毎日、昨日の自分よりもえらくなるように努力をすれば、自分がどれだけえらくなっているか想像もつかない。と言ってのけるような小学四年生だ。

 

 僕が小学四年生の頃に、このようなことを考えられるような子供だったら、えらくなれたのだろうか?(笑)

 

 名前は、アオヤマ君という。

 

 彼は、いつも、気になったことや知ったことをノートに書く。手元を見ずに書くこともできる。自己流の速記法も編み出している。

 

 そんな彼が、歯科医院のお姉さんから始まるさまざまな謎について、彼なりの研究を重ねていく話。

 

 ある程度年を重ねた今だから、小学四年生という彼の年齢を甘く見てしまうが、おそらく、彼と同じ年齢の頃に彼よりも頭のいい,研究熱心な子供はそうそういないと思います。

 

 森見さんの小説を5冊以上は読んでいるので、なんとなく、「四畳半神話大系」などの主人公たちの幼少期を想像しながら、読んでいました。

 

 また、森見さんの作品は、森見さんの母校である京都大学のある京都を舞台としているため、なんとなく、森見さん自身の過去をモチーフにして小説を書いているのかな?と思うこともあり、この作品も、ひょっとしたら、彼の幼少期に似せて書いているのかなと思って読みました。

 

 あくまで、小説だからこそ存在するような内容(SF)でしたが、研究熱心なアオヤマ君たちが謎に取り組んでいく姿に視点を合わせていくと、それがSFだからこそ成り立つ世界構造であることが、じれったい。現実的な結果に収束してほしい。

 

 しかし、最後まで読んで、ようやく、納得しました。これは、SF小説だからこそ、たどり着く結末なんだろうなということを。

 

 研究という,とても現実的に物事を考えないといけないような分野と、SFの融合。

 

 また、アオヤマ君という、周囲にいそうでいない,癖の強いキャラクター。

 

 その組み合わせを楽しめて読めたのかなと思います。

 

 では。