迷宮(中村文則)を読んだ
こんにちは。テスト勉強を放棄してブログを書いている筆者です。
今回は、中村文則さんの「迷宮」を読んだ感想についてです。
「迷宮」(中村文則)を再読
— たか@地方大学生 (@matsutaka0929) 2018年7月6日
2回目ではあるけど、読む手が止まらなかった
被害者側が狂ってるせいで、迷宮入りした「日置事件」
一番ゾッとしたのは、兄の絵と事件現場の類似
裏口のドアを開けて,1人押し入れに隠れる時の感覚は何となく分かる気がする#読書
あらすじ
胎児のように手足を丸め横たわる全裸の女。周囲には赤、白、黄、色鮮やかな無数の折り鶴がらせんを描くーー。都内で発生した一家惨殺事件。現場は密室。唯一生き残った少女は、睡眠薬で昏睡状態だった。事件は迷宮入りし「折り鶴事件」と呼ばれるようになる。時を経て成長した遺児が深層を口にするとき、深く沈められていたはずの狂気が人を闇に引き摺り込む。善悪が混濁する衝撃の長編。
本小説裏表紙より引用
感想
再読ではありましたが、あくまで全容を軽く把握していただけなので、ほぼ初読のような新鮮さで読めました。
全くの密室且つ家のあらゆる出入口に防犯カメラが仕掛けられた状態で起こった一家惨殺事件,「日置事件」。
主人公は、何かの縁のように、学生時代の同級生であり,また、「日置事件」の唯一の生存者である女と出会い、話が進んでいく。
この話の面白く,また、中村文則ワールドが炸裂しているのは、俗にいう「犯人」がいないこと。
この「犯人」がいないという表現が正しいのかはわかりませんが、今、僕が思いついた表現がこれしかなかったです(語彙力)。
事の真相を知った時、「被害者」という言葉の意味をそのまま捉えた上での驚きがあるでしょう。
現実で、このようなことが起こるとは僕の常識の範囲内では思えませんが、この展開に持っていけるのは、中村文則さんの小説ならではだと思います。
また、話の節々に書かれている,主人公の存在に対する文章が好きで、例えば、冒頭の
「君は選ばなければならない」
白衣を着た男が、まだ小さかった僕にそう言う。
「皆と何とかやっていける存在になるか、それとも、皆から背を向けられる存在になるか…」
という言葉。ストーリーとの直接的な関係はありませんが、中村さんの思考の一部を表したような文章が、彼の作品にはよく出てきて、個人的には好きです。
再読によって、ようやく、等身大の内容を受けきれたような気がします。一度目は、驚きでマヒしてましたから。
改めて読むと、決定的な,驚かざるを得ないような事件の原因がない気がしました(この人の作品を読むうちにマヒしたのもある)。
ネタバレになりますが、一番ぞっとしたのは、兄の絵と事件現場の類似ですね。内容忘れてました(笑)。
まとめ
小説でも啓発本でも,一度読んだだけでは残らず、再読してようやく記憶にも身にも着くような気がします。
また、似非読書家なので、基本的に、文庫化されてから購入するのですが、今日のバイトでたまたま「i」(西加奈子)を見かけて、読みたいな~,買おうかな~、とふと思った日でした。
では。