少しだけ、歩く

ゆる~く、自己成長につなげたい。雑記。

「夕映え天使:特別な一日」(浅田次郎)を読んで

 ついさっき、浅田次郎さんの「夕映え天使」を読んでいたんですが、その中の一遍の「特別な一日」を読んで、僕にしては衝撃を受けたので、ちょっと書いていこうと思います。

 

 作者の浅田次郎さんですが、確か、数年前のセンター試験の国語にポッポヤが出題されていた記憶があります。そのときは、純粋に、センター試験の国語の小説として、良い題材だなと思ったような。純粋に、読みやすかったし、人情味のある内容だったと思います。

 

 話の始まり方は、それまでの章とのように、人情深そうな内容だなと想いながら、楽しみにしながら読んでいました。

 話の主人公は、60歳の男の人で、ある会社の部長です。37年間勤めあげた会社への最後の出勤日,彼は、その一日を「特別な一日にしない」と心に決め、会社の部下や、長年の腐れ縁の社長、過去に不倫関係にあった女などに別れの挨拶を告げ、また、帰りには、たびたび訪れていた居酒屋で、それまでの思い出を少し振り返るシーンなどがあり、こういう話もいいなとしみじみしていたんです…。

  家に帰り、母子に迎えられ、これまでの会社員としての区切りを告げるんだなと思っていました。

 ところが、天皇玉音放送が始まるというニュースが入ったところで、何やら違和感が…。実は、その日、超巨大高速彗星が衝突するということが、三年前からわかっていたようで、あえて、その日を「特別な一日にしない」ということが決められていたようです…。

 

 いや、まさか、これまでの流れで、こんな叙述トリックがあるとは思わなかったです。読みながら、「えっ」って言葉が出ちゃいましたよ。そういった状況であることも踏まえて、それまでの登場人物の行動や言葉を見返すと、何とも言えない悲しさが。

 

 その日は、会社を退職する日ではなく、本来ならば、あと三か月はあったそうな。

 

 結局、最後まで、これから地球が滅亡することに対しての登場人物の不安のようなものは一切出てこず(ひょっとしたら見逃してるかも)、もし、こんな風にどうしようもない事態に陥った時は、こんな風に、「特別な一日にしない」というのもありなんだろうなと思いました。

 では。